薬事法と健康食品の取り扱い

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最終更新日 2024年4月2日 by hotelli

薬事法について

薬事法は戦後の1960年に制定されて以降、長年にわたって同じ名称で続いてきた法律のひとつですが、2013年に大規模な法律改正があった際に、従来の名称についても改正の対象となっています。

そのため現在では医薬品医療機器等法と呼ぶのが通例ですが、従来からの名称である薬事法が通称的に利用されることも多いのが実情です。

この薬事法は狭義の医薬品をはじめとして、さまざまな品目を規制の対象としていますが、ここで関連してくるのがいわゆる健康食品です。

実は健康食品というのは定義があいまいで、法律には特段の規定があるわけではなく、単に通常の食品よりも健康に効果がありそうだとして市販されている商品全般を指すものと考えられます。

このなかには特定保健用食品や栄養機能食品、機能性表示食品までも含むことがありますが、特定保健用食品などは健康増進法のなかで明確な定義が与えられ、消費者庁長官の許可を受けた商品に限られていますので、これらを除いたものとするのが適当です。

そのような捉え方からいわゆる健康食品の法的な規制がないかどうかを確認してみると、食品衛生法や健康増進法のほか、薬事法も製造や輸入および販売などについて抵触する部分がある可能性が存在することがわかります。

 

厚生労働省による通達の内容

厚生労働省による通達では、医薬品は日本薬局方に定められているもの、または人間や動物の疾病の診断や治療、予防などに使用されることが目的であるものなどが該当し、これらと一般的な食品との間の線引きがなされていますので、もしもことさらに治療などの効能をうたった食品があれば、それは医薬品との関連において問題視され、薬事法の規制対象となります。

医薬品とまぎらわしい食品が流通するのは消費者の誤解を招き、正しい医療を受ける機会を喪失させることにもつながりますので、法律にもとづく監視指導というかたちで随時当局のチェックが入るものと考えるのが妥当です。

医薬品と食品との区別を今少しくわしく見てみると、もっぱら医薬品として使用されるような原材料を配合したものは、世間一般に健康食品として認知されていても、それは医薬品の範囲に含まれますし、そのほかのものであってもいくつかの特徴から同様に範囲に含まれるとして取り扱われるものがあります。

たとえば医薬品に類似した効能や効果をパッケージに記載したり、テレビやラジオのコマーシャルで標榜したりする場合がそれに該当しますし、商品の形状がアンプルになっていたり、用法用量が決まっているなどして極端にまぎらわしいものも同様といえます。

 

個別の法律の条文に照らして是非を判断する必要がある

これら以外であれば医薬品には該当せず、したがって薬事法の規制対象外になりますが、その場合であっても他の法律、たとえば不当表示防止法などには抵触するおそれがないわけではありませんので、個別の法律の条文に照らして是非を判断することになります。

原材料については医薬品かそうでないかを明らかにするためのリストが厚生労働省から提示されていますので、いわゆる健康食品にリストに含まれている物質が使用されている実態を調べれば、規制が及ぶかどうかが容易にわかります。

この場合にはリストにある物質が一種類でも含まれていれば即座に医薬品と判断されるのが原則ですが、薬理作用が期待できないほどの分量しかなく、着色などの目的による食品添加物であることが明らかな場合には、そのような判断にはならないことも例外的にあり得ます。

また標榜の意味についてはかなり幅広く捉えられていますので、こちらのほうにも注意が必要となっています。

特に最近では健康食品のインターネットによる広告などもさかんになっており、従来ではあまり意識されなかったような内容であっても問題となることがあります。

 

誇大広告に対する法律上の規制

パッケージの記載やコマーシャルは健康食品を製造している企業が明確な意図をもって行うことから標榜に該当するのは当然ですが、実はそのほかにも小冊子や書籍などで宣伝をしたり、使用経験者による体験談や感謝のことばなどを取りまとめて公表したり、相談会やキャッチセールスなどの場を通じて口頭やスライドなどで説明をしたりすることなども標榜に該当するものとされています。

インターネット上のサイトではしばしば体験談が掲載されたり、講演会などの動画がアップロードされたりすることがあり、興味をもってアクセスする不特定多数の人々もいるはずです。

このようなものはブログのような形式をとっていたとしても、医学的効果をうたって商品の販売に結びつけているのであれば、すべて標榜にあたります。「薬事法ドットコム」による調査データ一覧

特に注意しておきたいのは誇大広告に対する法律上の規制で、医薬品の効能について虚偽または誇大な記事を記載することや、医師が効能を保証したと誤解を受けるような記事を記載することは厳に禁止されています。

この条文に関しては製造販売にたずさわる会社や個人だけではなく、すべての人が禁止の対象となっていますので、いわゆるアフィリエイト広告による収益が目当てで一般人が同様の記事をインターネットにアップする場合までもが含まれます。